2023年12月に書評掲載されたみすず書房の本をご紹介します。
各誌の毎年恒例ベスト本や2023年の本に多数取り上げていただきました。
フェイ・バウンド・アルバーティ『私たちはいつから「孤独」になったのか』神崎朗子訳
2023年11月刊
誰もが抱える問題として普遍化され、社会的対処の必要性が叫ばれる「孤独」。単に「独りでいること」を意味した「孤独」が、近代以降、否定的な欠乏感の表現となり、複雑な感情群となるにいたった歴史を紐解く。
- 毎日新聞 2023/12/9 評者・斎藤環さん
- 好書好日「鴻巣友季子の文学潮流」第9回
『私たちはいつから「孤独」になったのか』の詳細はこちら
【試し読み】序文「No (Wo)man Is an Island――人間は誰も(女も男も)孤島ではない」抜粋はこちら
ヴァンサン・ゾンカ『地衣類、ミニマルな抵抗』宮林寛訳
2023年10月刊
「地衣類は科学者のみならず、「共生」──ないし「寄生」──について考えるためのさまざまなきっかけを思想家たちに提供してきた。本書はそうした過去の言説にも立脚しつつ、人新世の時代における共生の問題をあらためて俎上に載せた、詩情豊かなエッセイである。」
(星野太)
『地衣類、ミニマルな抵抗』の詳細はこちら
【寄稿】大村嘉人「猛暑の東京で『地衣類、ミニマルな抵抗』の著者に会う」はこちら
ジェイムズ・ゴフ/ウォルター・ダッドリー『津波 暴威の歴史と防災の科学』
千葉敏生 訳 河田惠昭 解説
2023年10月刊
日本を含む古今東西の記録、伝承、科学調査を組み合わせてたどる無二の「津波」の世界史。未来に向けた防・減災の知識も身につく1冊。
- 東京新聞 2023/12/2 中日新聞 2023/12/3 短評
- 日経新聞 2023/12/9 評者・佐竹健治さん
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聖教新聞 2023/12/12 評者・吉岡忍さん
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プレジデント 2023/12/15号 評者・鎌田浩毅
『津波 暴威の歴史と防災の科学』の詳細はこちら
【試し読み】「解説 古今東西の事例にもとづく津波の総合検証」(河田惠昭)より抜粋はこちら
ジュディス・L・ハーマン『心的外傷と回復【増補新版】』中井久夫・阿部大樹訳
2023年10月刊
あらゆる心的外傷(トラウマ)の諸相とその治療への方向性を具体的・情熱的に示した、トラウマ問題の「バイブル」の増補新版を刊行。
- 毎日新聞 2023/12/23「2023 この3冊」 評者・内田麻理香さん
アンドレアス・キルヒャー編『カフカ素描集』高橋文子・清水知子訳
2023年10月刊
チューリッヒの金庫に保管されていた160点余の素描。2019年、没後百年を目前にしてようやく姿をあらわした、もうひとりの、画家カフカ。実物大、オールカラーで収録。
- 読売新聞 2023/12/10 評者・郷原佳以さん
『カフカ素描集』の詳細はこちら
「カフカの描いたもの、書いたもの」
キルヒャーの論考「カフカにおける描くことと書くこと」より、要約はこちら
服部文祥『北海道犬旅サバイバル』
2023年9月刊
50歳を迎えた登山家が愛犬を連れて宗谷岬から襟裳岬まで700kmを2ヵ月かけて歩き通した。鹿を撃って食いつなぐサバイバル旅。
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朝日新聞 2023/12/23 書評委員19人の「今年の3点」評者・稲泉連さん
カール・ヘラップ『アルツハイマー病研究、失敗の構造』梶山あゆみ訳
2023年9月刊
インサイダーだけが知る、袋小路に陥ったアルツハイマー病研究の実情。この病の科学的理解の根本を見直す、良心的科学者による告発。
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『こころの科学』233号 評者・糸川昌成さん
『アルツハイマー病研究、失敗の構造』の詳細はこちら
【試し読み】「日本語版に寄せて」はこちら
【書評】仲野徹「科学研究における「選択と集中」の罠」
トマ・ピケティ『資本とイデオロギー』 山形浩生・森本正史訳
2023年8月刊
伊藤憲二『励起 仁科芳雄と日本の現代物理学 上・下』
2023年7月刊
今日の日本を支える先端的物理学研究のインフラとカルチャーが築かれたのは、昭和初期から戦争と敗戦を経て占領期に至る困難な四半世紀の出来事だった。それはいったい、どのようにしてなされたのだろうか。仁科芳雄を軸に破格のスケールで描く、現代物理学の来た道。
伊藤憲二『励起 仁科芳雄と日本の現代物理学 上』の詳細はこちら
伊藤憲二『励起 仁科芳雄と日本の現代物理学 下』の詳細はこちら
伊藤憲二「占領下のサイクロトロン破壊を見直す」
仁科芳雄と大型原子核実験装置の世界史的文脈(『みすず』2023年6月号よりPDF版公開)
トマス・S・クーン『科学革命の構造【新版】』青木薫訳
2023年6月刊
世界の見方を変えた名著、待望の新版! 原著50周年記念版を底本とし、精緻な新訳で贈る。イアン・ハッキングによる序説を巻頭に付す。2023年度日本翻訳家協会賞〈翻訳特別賞〉受賞。
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HONZ 2023/12/12 評者・鎌田浩毅さん
カール・エリック・フィッシャー『依存症と人類 われわれはアルコール・薬物と共存できるのか』松本俊彦 監訳 小田嶋由美子 訳
2023年4月刊
依存症は「病気」なのか? アルコール依存症から回復した精神科医が、圧倒的な筆力で概念の変遷から対策の歴史までを詳らかにする。
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紀伊國屋じんぶん大賞2024 11位
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『本の雑誌』2024年1月号 2023年度ノンフィクションベスト10 第1位
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毎日新聞 2023/12/23「2023 この3冊」 評者・斎藤環さん
オーウェン・マシューズ『ゾルゲ伝 新資料が語るゾルゲ事件2 スターリンのマスター・エージェント』鈴木規夫・加藤哲郎訳
2023年5月刊
欧米でベストセラー、稀代のスパイの伝記。英米独日露の新資料を駆使し、歴史とゾルゲの人間性に迫る。情報戦を生きる現代人に必読。
- 読売新聞 2023/12/24「読書委員が選ぶ『2023年の3冊』」 評者・遠藤乾さん
『ゾルゲ伝』の詳細はこちら
【寄稿】加藤哲郎(訳者、一橋大学名誉教授、尾崎=ゾルゲ研究会代表)「岸惠子主演『真珠湾前夜』が可能にした学術的ゾルゲ事件研究」はこちら
キャシー・ジェトニル=キジナー『開かれたかご マーシャル諸島の浜辺から』一谷智子訳
2023年2月刊
「与えて与えて与え尽くせ」、その後かごには何が残る?
大国に翻弄されてきた歴史をもつマーシャル諸島の若き活動家が放つ詩集。国連気候変動サミットで朗読した代表作はじめ42篇。
- 毎日新聞 2023/12/16「2023 この3冊」 評者・池澤夏樹さん
ウィリアム・ノードハウス『グリーン経済学 つながってるけど、混み合いすぎで、対立ばかりの世界を解決する環境思考』江口泰子訳
2023年1月刊
環境思考で経済的効率性、持続可能性、政治、税制、倫理、金融といった現代社会のあらゆる側面を鳥瞰する。
- 日本経済新聞 2023/12/23 エコノミストが選ぶ 経済図書ベスト10(2023年)9位
12月の書評は以上です。本年も小社刊行物を何卒よろしくお願いいたします。(営業部)