2024年4月に書評掲載された本をご紹介します。
ジュディス・L・ハーマン『真実と修復――暴力被害者にとっての謝罪・補償・再発防止策』
2024年3月刊
暴力被害者は何を求めているのか。加害者の謝罪やアカウンタビリティはどうあるべきか。補償や再発防止の具体策は、司法のあり方は。『心的外傷と回復』を継ぐ総決算の書。
- 毎日新聞 2024年4月27日 評者・斎藤環さん
ジョージ・L・コントレラス『ゲノム裁判――ヒト遺伝子は誰のものか』
2024年3月刊
「ヒト遺伝子に特許は認められるのか?」一私企業がヒト遺伝子利用を独占する。長く定着していたこの慣行に初めて異を唱えた裁判の、手に汗握るドキュメンタリー。
- 日本経済新聞 2024年4月27日
四方田犬彦訳『パゾリーニ詩集【増補新版】』
2024年3月刊
異端と醜聞、歴史と性愛の交錯点で20世紀イタリアを駆け抜けた大詩人。生誕100年を過ぎて増す評価と関心に応えるべく詩業の変転をたどる論考を加えた決定版。
- 東京新聞・中日新聞 2024年4月6日 評者・岡本啓さん
海老坂武『生きるということ――モンテーニュとの対話』
2024年3月刊
「どのページから開いてどのテーマから入っていってもよい。ただし熟読するのだ。」モンテーニュ『エセー』との密やかな22の対話を収録した随筆/随想(エセ―)。
- しんぶん赤旗日曜版 2024年4月14日号 著者インタビュー
ジム・ダウンズ『帝国の疫病――植民地主義、奴隷制度、戦争は医学をどう変えたか』
2024年2月刊
植民地主義や戦争は疫病を蔓延させた一方で大規模な調査を可能にし、疫学は飛躍的に発展した。奴隷や兵士など、歴史の闇に埋もれた人々が織りなす、疫学誕生の歴史。
- 日本経済新聞 2024年4月6日 評者・武田将明さん
礒井純充『「まちライブラリー」の研究――「個」が主役になれる社会的資本づくり』
2024年2月刊
始まりから12年、著者が提唱し、全国1000ヶ所以上に形成されてきた「まちライブラリー」。地域の場づくりやコミュニティ形成をうながす活動の鍵を明らかにする、示唆に富んだ一冊。
- 週刊東洋経済 2024年4月20日号 評者・牟田都子さん
- 日本経済新聞 2024年4月20日 評者・永江朗さん
- 西日本新聞 2024年4月13日 評者・大井実さん
エリザベス・ミキ・ブリナ『語れ、内なる沖縄よ――わたしと家族の来た道』
2024年1月刊
沖縄出身の母とベトナム帰還兵の父を持つアメリカ人女性が、長く遠ざけてきた沖縄を訪れ、その歴史をたどりながら自身のルーツに向き合う。多くの共感を呼んだメモワール。
- 日刊ゲンダイDIGITAL 2024年4月25日 評者・金井真紀さん
- 西日本新聞 2024年4月25日 評者・田尻久子さん
- 『世界』 2024年5月号 評者・新城和博さん
- 共同配信(秋田さきがけ、福島民友、下野新聞) 評者・稲福恵子さん
最上敏樹『国際法以後』
2024年1月刊
ロシアによるウクライナ侵攻、ガザへの大規模攻撃。かくも堂々と破られる国際法とはなんなのか。構造的問題を明示し「後」に来るべきものを探る。
- 図書新聞 2024年5月4日号(第3638号) 評者・掛江朋子さん
ウィリアム・マッカスキル『見えない未来を変える「いま」――〈長期主義〉倫理学のフレームワーク』
2024年1月刊
科学をはじめ、歴史、哲学と使える知見は何でも使い、熱意にあふれた筆致で読者を巻き込んでいく若き哲学者、マッカスキルの説く、未来のための思想。
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中央公論 2024年5月号 評者・木澤佐登志さん
リシャルド・カプシチンスキ『帝国 新版――ロシア・辺境への旅』
2024年1月刊
ソ軍侵攻に怯えた幼少期の記憶、ソ連時代と崩壊後の経験。伝説的ジャーナリストが取り憑かれたように旅した〈帝国〉の、個人的報告。
- 東京新聞 2024年4月9日 評者・沼野充義さん
ジェイムズ・ゴフ/ウォルター・ダッドリー『津波――暴威の歴史と防災の科学』
2023年10月刊
日本を含む古今東西の記録、伝承、科学調査を組み合わせてたどる無二の「津波」の世界史。未来に向けた防・減災の知識も身につく1冊。
- HONZ 2024年4月22日 評者・鎌田 浩毅さん
『津波 暴威の歴史と防災の科学』の詳細はこちら
【試し読み】「解説 古今東西の事例にもとづく津波の総合検証」(河田惠昭)より抜粋はこちら
服部文祥『北海道犬旅サバイバル』
2023年9月刊
50歳を迎えた登山家が愛犬を連れて宗谷岬から襟裳岬まで700kmを2ヵ月かけて歩き通した。鹿を撃って食いつなぐサバイバル旅。
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ほんのひきだし 2024年4月12日 評者・橋本裕さん