2024年8月に書評掲載された本をご紹介します。
ヴィリ・レードンヴィルタ『デジタルの皇帝たち――プラットフォームが国家を超えるとき』
濱浦奈緒子訳 2024年8月刊
自由とテクノロジーを誰よりも愛した者は国家を超える帝国を築いた。デジタル帝国の君主たちの思想的起源や経営手法、そして彼らに抗った人々を、ストーリーとデータで描く。
- 共同配信(沖縄タイムス、日本海新聞ほか) 2024年8月24日 評者・川元康彦さん
「仮想の「国家」、統治は?」
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【コラム】ブックリスト:デジタルの歴史
ハリー・パーカー『ハイブリッド・ヒューマンたち――人と機械の接合の前線から』
川野太郎訳 2024年7月
アフガニスタン紛争で両足を失った作家が見つめる、障害のある身体と機械の接合による生きやすさ追求のフロンティア。当事者の目線に沿って見つめる「支援テクノロジー」考。
- 日本経済新聞 2024年8月31日 評者・森岡正博さん
「融合する身体と機械の現実」 - 共同配信(秋田さきがけ、琉球新報ほか) 2024年8月31日 評者・木下直之さん
「境界線に見直しを迫る」
モーガン・フィリップス『大適応のはじめかた――気候危機のもうひとつの争点』
齋藤慎子訳 2024年6月刊
私たちはこんなに大事なことを、どうしてまだ議論していないんだろう? 緩和策だけで気候危機をすべて避けられるわけではなく、適応は不可避だ。新しい環境運動のためのハンドブック。
- 東京新聞 2024年8月3日 短評
- 週刊エコノミスト 2024年8月27日・9月3日合併号掲載 「話題の本」
オリヴァー・ジョンソン『数学思考のエッセンス――実装するための12講』
水谷淳訳 2024年6月刊
株価の値動きからコロナ・ワクチンの効果測定まで。身近な事例を通してフェルミ推定、ベイズの定理、ゲーム理論などの考え方が身につく実践的数学講座。
- 日本経済新聞 2024年8月3日 評者・小島寛之さん
「日常生活を理解する「アプリ」」
山本義隆『核燃料サイクルという迷宮――核ナショナリズムがもたらしたもの』
2024年5月刊
日本のエネルギー政策の恥部とも言うべき核燃料サイクル事業は、戦前来の電力中央集権化とナショナリズムの申し子だった。その歴史の精査をもとに脱原発の必要と必然を説く。
- 週刊読書人 2024年8月16日号 評者・佐藤嘉幸さん
「政府・企業が必要とした核の「神話」:軍事国家体制が残遺する日本の問題」
エミール・シンプソン『21世紀の戦争と政治――戦場から理論へ』
吉田朋正訳、菊地茂雄日本語版監修 2024年3月刊
英陸軍士官としてアフガニスタンを戦った著者が「戦争という概念」を現代の文脈から問い直す。「本書こそは…クラウゼヴィッツ『戦争論』の終結部と呼ぶに相応しい」(マイケル・ハワード)。
- 図書新聞 2024年8月31日号(3653号) 評者・岡和田晃さん
「政府・企業が必要とした核の「神話」:軍事国家体制が残遺する日本の問題」
ピエル・パオロ・パゾリーニ『パゾリーニ詩集【増補新版】』
四方田犬彦訳 2024年3月刊
異端と醜聞、歴史と性愛の交錯点で20世紀イタリアを駆け抜けた大詩人。生誕100年を過ぎて増す評価と関心に応えるべく詩業の変転をたどる論考を加えた決定版。
- 図書新聞 2024年9月7日号(第3654号) 評者・土肥秀行さん
「日本発アンソロジーのオリジナリティがある――訳者のチョイスは詩人パゾリーニの輪郭を示すのにふさわしい」