2024年6月に書評掲載された本をご紹介します。
山本義隆『核燃料サイクルという迷宮――核ナショナリズムがもたらしたもの』
2024年5月刊
日本のエネルギー政策の恥部とも言うべき核燃料サイクル事業は、戦前来の電力中央集権化とナショナリズムの申し子だった。その歴史の精査をもとに脱原発の必要と必然を説く。
- 朝⽇新聞 2024年6月8日 評者・福嶋亮大さん
- 東京新聞/中日新聞 2024年6月22日 評者・藤原辰史さん
オディロン・ルドン『ルドン 私自身に』【新装版】
2024年5月刊
夢やファンタズマゴリーを描きつづけるとともに、自然のヴィジョンに決してたじろがなかったルドン。画家の内面が率直に語られる稀有な芸術論。初版1983年。
- 毎日新聞 2024年6月29日 評者・渡邊十絲子さん
土田昇『瀏瀏と研ぐ――職人と芸術家』
2024年4月刊
戦争賛美詩を量産した彫刻を作らぬ彫刻家と、軍刀作りを拒否した「刀は打たぬ」名工。高村光太郎と千代鶴是秀の接点たる1本の彫刻刀を導き手に広がる道具と芸術の世界。『職人の近代』の著者が新たに描く道具と美の系譜。
- 週刊読書人 2024年6月28日号 評者・知足美加子さん
島田潤一郎『長い読書』
2024年4月刊
「本を読み続けることでなにを得られるのか。」吉祥寺のひとり出版社「夏葉社」を創業した著者が、喜びだけではない、読書という体験の全体をつぶさに描く無二の散文集。
- 東京人 2024年7月号 評者・河合香織さん
- 日本経済新聞 2024年6月8日 評者・平松洋子さん
- 週刊新潮 2024年6月13日号 評者・稲泉連さん
- 朝⽇新聞 2024年6月29日 評者・山内マリコさん
- 週刊読書人 2024年6月7日号 著者インタビュー
『長い読書』の詳細はこちら
【新刊紹介】島田潤一郎『長い読書』のための序文
島田潤一郎『長い読書』書店イベントレポート(2024年4月)
海老坂武『生きるということ――モンテーニュとの対話』
2024年3月刊
「どのページから開いてどのテーマから入っていってもよい。ただし熟読するのだ。」モンテーニュ『エセー』との密やかな22の対話を収録した随筆/随想(エセ―)。
- 日本経済新聞 2024年6月22日
- 読売新聞 2024年7月11日 著者インタビュー
エミール・シンプソン『21世紀の戦争と政治――戦場から理論へ』
2024年3月刊
英陸軍士官としてアフガニスタンを戦った著者が「戦争という概念」を現代の文脈から問い直す。「本書こそは…クラウゼヴィッツ『戦争論』の終結部と呼ぶに相応しい」(マイケル・ハワード)。
- 朝⽇新聞 2024年6月1日 評者・保阪正康さん
- 図書新聞 2024年7月6日号(3646号) 評者・奥山真司さん
エリザベス・ミキ・ブリナ『語れ、内なる沖縄よ――わたしと家族の来た道』
2024年1月刊
沖縄出身の母とベトナム帰還兵の父を持つアメリカ人女性が、長く遠ざけてきた沖縄を訪れ、その歴史をたどりながら自身のルーツに向き合う。多くの共感を呼んだメモワール。
- 毎日新聞 2024年6月15日 評者・永江朗さん