みすず書房

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書評に載った本 2024年1月

2024年2月29日

2024年1月に書評掲載された本、新聞や雑誌に掲載された著者インタビューなどをご紹介します。

リシャルド・カプシチンスキ『帝国――ロシア・辺境への旅【新版】』
工藤幸雄 訳 関口時正 解説

2024年1月

ソ軍侵攻に怯えた幼少期の記憶、ソ連時代と崩壊後の経験。伝説的ジャーナリストが取り憑かれたように旅した〈帝国〉の、個人的報告。
 

  • 毎日新聞(短評)2024年1月20日 評者・池澤夏樹さん
『帝国――ロシア・辺境への旅【新版】』の詳細はこちら

ウィリアム・マッカスキル『見えない未来を変える「いま」 〈長期主義〉倫理学のフレームワーク』
千葉敏生 訳

2024年1月

科学をはじめ、歴史、哲学と使える知見は何でも使い、熱意にあふれた筆致で読者を巻き込んでいく若き哲学者、マッカスキルの説く、未来のための思想。

  • 朝日新聞(夕刊)エンタメ季評 2024年1月31日 評者・樋口恭介さん

『見えない未来を変える「いま」』の詳細はこちら
『見えない未来を変える「いま」』編集者による紹介記事

前川淳『空想の補助線 幾何学、折り紙、ときどき宇宙』

折り紙マエストロの幾何学的着想とユーモアが光る数理エッセイの逸品18篇。

  • 毎日新聞 1月27日 評者・若島正さん
  • 共同通信配信(沖縄タイムス、中部経済新聞、下野新聞)読書欄「書いた、思った、考えた」   
    著者インタビュー「入り口としての折り紙」

『空想の補助線』の詳細はこちら

ロバート・ダーントン『検閲官のお仕事』
上村敏郎・八谷舞・伊豆田俊輔 訳

2023年12月刊

「そもそも検閲とは何か?」ブルボン朝フランス、英領インド、東ドイツの政治体制の検閲を比較しながら、その答えを求める。書物を生み出す力として、検閲が浸透していたことを示す、野心的歴史叙述。

『検閲官のお仕事』の詳細はこちら
『検閲官のお仕事』編集者による紹介記事

 

ピーター・ゴドフリー=スミス『メタゾアの心身問題 動物の生活と心の誕生』
塩﨑香織訳

2023年12月刊

『タコの心身問題』の著者による驚きの生物進化読本、第2弾!海の生物たちの生態を手掛かりに、多様な感性の起源を探り、精神と物質のギャップに橋を架ける。

  • 朝日新聞 2024年1月20日 評者・福嶋 亮大さん

『メタゾアの心身問題』の詳細はこちら

エドワード・ポズネット『不自然な自然の恵み 7つの天然素材をめぐる奇妙な冒険』
桐谷知未 訳

2023年12月刊

最高級ダウン、ツバメの巣、ジャコウネコが排泄したコーヒー豆……。巧みな文体で紡がれた、7つの希少な天然素材をめぐる傑作ノンフィクション。

『不自然な自然の恵み』の詳細はこちら
【試し読み】訳者あとがきはこちら

 

金子信博『ミミズの農業改革』

2023年12月刊

耕さず、ミミズに委ねよう。ミミズは落ち葉と土を食べて団子にし、栄養を閉じ込め、水路も作る。土を構造化し続ける生態系改変者に、これからの農業を学ぶ。

『ミミズの農業改革』の詳細はこちら
【試し読み】第1章冒頭より

フェイ・バウンド・アルバーティ『私たちはいつから「孤独」になったのか』神崎朗子訳

2023年11月刊

誰もが抱える問題として普遍化され、社会的対処の必要性が叫ばれる「孤独」。単に「独りでいること」を意味した「孤独」が、近代以降、否定的な欠乏感の表現となり、複雑な感情群となるにいたった歴史を紐解く。

『私たちはいつから「孤独」になったのか』の詳細はこちら
【試し読み】序文「No (Wo)man Is an Island――人間は誰も(女も男も)孤島ではない」抜粋はこちら

ヤヌシュ・コルチャク『コルチャク ゲットー日記』
田中壮泰・菅原祥・佐々木ボグナ 監訳 野村真理 訳・解説
細見和之・大内隆一・細谷徹・佐伯彩・大澤亜里 訳

2023年11月刊

ワルシャワ・ゲットーで多くの子どもたちと生活し、共にトレブリンカ収容所に消えていったヤヌシュ・コルチャクの最後の3ヵ月の日記。その思考の総決算。

  • 東京新聞/中日新聞 2024年1月13日 寸評

『コルチャク ゲットー日記』の詳細はこちら
【試し読み】「訳者あとがき」

ロマーン・ヤーコブソン/クロード・レヴィ=ストロース『ヤーコブソン/レヴィ=ストロース往復書簡 1942-1982』
エマニュエル・ロワイエ/パトリス・マニグリエ 編 小林徹 訳

20世紀の偉大な知性、言語学者ロマーン・ヤーコブソンと人類学者クロード・レヴィ=ストロース。生涯の友情に結ばれ交わした書簡群を初めて編み公刊。

  • 読売新聞 2024年1月21日 評者・郷原佳以さん

『ヤーコブソン/レヴィ=ストロース往復書簡』の詳細はこちら

服部文祥『北海道犬旅サバイバル』

2023年9月刊

50歳を迎えた登山家が愛犬を連れて宗谷岬から襟裳岬まで700kmを2ヵ月かけて歩き通した。鹿を撃って食いつなぐサバイバル旅。

  • 毎日新聞 2024年1月13日 評者・渡邊十絲子さん

『北海道犬旅サバイバル』の詳細はこちら

伊藤憲二『励起 仁科芳雄と日本の現代物理学 上・下』

2023年7月刊

今日の日本を支える先端的物理学研究のインフラとカルチャーが築かれたのは、昭和初期から戦争と敗戦を経て占領期に至る困難な四半世紀の出来事だった。それはいったい、どのようにしてなされたのだろうか。仁科芳雄を軸に破格のスケールで描く、現代物理学の来た道。

  • 週刊読書人 2024年1月19日号 評者・早川尚男さん
  • HONZ 2024年1月22日 評者・青木薫さん

伊藤憲二『励起 仁科芳雄と日本の現代物理学 上』の詳細はこちら
伊藤憲二『励起 仁科芳雄と日本の現代物理学 下』の詳細はこちら

伊藤憲二「占領下のサイクロトロン破壊を見直す」
仁科芳雄と大型原子核実験装置の世界史的文脈(『みすず』2023年6月号よりPDF版公開)

奥山淳志『庭とエスキース』

2019年4月刊

写真家である著者は、北海道の丸太小屋で自給自足の生活を営み、糧を生みだす庭とともに暮らす「弁造さん」の姿を14年にわたり撮影しつづけた。
弁造さんの“生きること”を思い紡がれた24篇の記憶の物語と40点の写真。
人が人と出会ったことの豊かさを伝える、心揺さぶる写文集。

  • 共同通信配信 I♡読書    2024年1月13日 評者・大竹昭子さん

『庭とエスキース』の詳細はこちら
【寄稿】『庭とエスキース』外伝(奥山淳志)

岡真理『アラブ、祈りとしての文学【新装版】』

2015年刊

小説を書き、読むという営みは理不尽な現実を直接変えることはない。小説は無能なのか。悲惨な世界を前に文学は何ができるのか。古くて新しい問いが浮上する。
ガザ、ハイファ、ベイルート、コンスタンティーヌ、フェズ……、様々な土地の苛烈な生を私たちに伝える現代のアラブ文学は多様な貌をもつ。しかし各作品に通奏低音のように響く、ひとつの祈念がある。

  • SPUR 3月号 「イスラエル・パレスチナを知る」
  • 『装苑』2024年3月号「本好きの本棚」vol.35 岩川ありささん

岡真理『アラブ、祈りとしての文学【新装版】』の詳細はこちら

1月の書評は以上です。(営業部)