2024年10月に書評掲載された本をご紹介します。
カルロ・ギンズブルグ『自由は脆い』
上村忠男編訳 2024年8月刊
世俗権力は過去の宗教的シンボルと道具を利用してきた。そしてファシズムがテクノロジーを利用して再作動している。歴史家が不明瞭な転換期の今を追った最新論考集。
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週刊読書人 2024年10月25日号(3562号) 評者・西谷修さん(東京外国語大学大学院名誉教授・哲学・思想史)
「「ファシズム的なもの」の正体 啓示の世俗化を理解する精緻な文献読解」
ヴィリ・レードンヴィルタ『デジタルの皇帝たち――プラットフォームが国家を超えるとき』
濱浦奈緒子訳 2024年8月刊
自由とテクノロジーを誰よりも愛した者は国家を超える帝国を築いた。デジタル帝国の君主たちの思想的起源や経営手法、そして彼らに抗った人々を、ストーリーとデータで描く。
- 事業構想 2024年11月号 MPDの本棚
- しんぶん赤旗 2024年10月13日 評者・夏目啓二さん(龍谷大学名誉教授) 「業界支配への抵抗や反抗に焦点」
- 日本経済新聞 2024年10月19日「この一冊」 評者・岡田羊祐さん(成城大学教授) 「市場設計者が公共担う矛盾」
『デジタルの皇帝たち』の詳細はこちら
【新刊紹介】古代ギリシャ・ソ連・デジタル帝国
【コラム】ブックリスト:デジタルの歴史
ファーゾン・A・ナーヴィ『コード・グレー――救命救急医がみた医療の限界と不確実性』
桐谷知未訳、原井宏明監修 2024年8月刊
つねに死と向き合い、善悪の概念を試される「グレー」な場面ばかりが訪れる、複雑で予測不可能なERの現場を巧みな構成で描くノンフィクション。
- 北海道新聞 2024年10月20日 短評
ミシェル・ナイハウス『「絶滅の時代」に抗って――愛しき野獣の守り手たち』
的場知之訳 2024年7月刊
すべての生き物は「支配の対象」ではなく「守るべき隣人」だ。野生動物保護の変遷と、声を上げ、行動した者たちの奮闘を描く生物多様性保全の歴史。
- 読売新聞 2024年10月13日 評者・遠藤秀紀さん(解剖学者・東京大学教授) 「自然保護 率いた「闘争者」」
スティーブ・ブルサッテ『哺乳類の興隆史――恐竜の陰を出て、新たな覇者になるまで』
黒川耕大訳、土屋健日本語版監修 2024年7月刊
哺乳類の覇者への道のりは恐竜絶滅よりも遥か昔に始まった。哺乳類の祖先が幾多の絶滅事件を乗り越え私たちに至るまでの、途方もない歴史を描く。図版多数収録。
- 西日本新聞 2024年10月26日 評者・河野聡子さん(詩人) 「進化の道のり逸話まじえて」
今福龍太『霧のコミューン』
2024年7月刊
現代社会へのエッセンシャルな批評から出発しつつ、荒れ果てた風景の彼方に広がる真の人間性の場を探究しようとした著者の思索のはるかな到達点。狭霧のなかで抵抗の力をためる、日々の心のコミューンへの熱きいざないの書。
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週刊読書人 2024年10月18日号(3561号) 評者・中村隆之さん(早稲田大学教授・環大西洋文化研究) 「コミューン、人びとの心の拠り所 「霧の子ども」の叡智を継ぐために」
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東京新聞・中日新聞 2024年10月19日 著者は語る 「柔らかなつながりを」
ハリー・パーカー『ハイブリッド・ヒューマンたち――人と機械の接合の前線から』
川野太郎訳 2024年7月刊
アフガニスタン紛争で両足を失った作家が見つめる、障害のある身体と機械の接合による生きやすさ追求のフロンティア。当事者の目線に沿って見つめる「支援テクノロジー」考。
- 週刊東洋経済 2024年11/2-9合併号(10月28日発売) 評者・渡部沙織さん(医療社会学者) 「機械や人工物と融合していく身体 清濁併せ呑み抱く、未来への希望」
モーガン・フィリップス『大適応のはじめかた――気候危機のもうひとつの争点』
齋藤慎子訳 2024年6月刊
私たちはこんなに大事なことを、どうしてまだ議論していないんだろう? 緩和策だけで気候危機をすべて避けられるわけではなく、適応は不可避だ。新しい環境運動のためのハンドブック。
- 日本農業新聞 2024年10月6日 「あぜ道書店」
島田潤一郎『長い読書』
2024年4月刊
「本を読み続けることでなにを得られるのか。」吉祥寺のひとり出版社「夏葉社」を創業した著者が、喜びだけではない、読書という体験の全体をつぶさに描く無二の散文集。
- 朝日新聞 2024年10月11日 「折々のことば」
『長い読書』の詳細はこちら
【新刊紹介】島田潤一郎『長い読書』のための序文
島田潤一郎『長い読書』書店イベントレポート(2024年4月)
ヘンリー・マーシュ『残された時間――脳外科医マーシュ、がんと生きる』
2024年4月刊
それほど遠くない人生の終わりに直面したとき、人は何を思うのか。数えきれないほどの死を見届けてきた脳外科医マーシュの、最後のメッセージ。
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毎日新聞 2024年10月5日 評者・養老孟司さん(解剖学者) 「一般化はできない自分のこと、個別性」
林大地『世界への信頼と希望、そして愛――アーレント『活動的生』から考える』
2023年12月刊
ここに鮮やかで瑞々しいハンナ・アーレント論が誕生した。「世界」概念を軸に『活動的生』を読み解き、アーレントの著作全体の核心に近づく試論=エッセイ。
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住宅建築 2024年12月号 評者・島田潤一郎さん(夏葉社代表) 「若くて、力のある書物」