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書評に載った本 2024年9月

2024年10月18日

2024年9月に書評掲載された本をご紹介します。

ウィンストン・チャーチル『[完訳版]第二次世界大戦2――彼らの最良のとき』

伏見威蕃訳 2024年9月刊

ダンケルク脱出、フランス失陥、バトル・オヴ・ブリテン、ブリッツ――相次ぐ危地を英国はどう切り抜けたか?ノーベル文学賞に輝く名宰相の一大戦史。第2巻は1940年5月から12月までを収録。

  • 読売新聞 2024年9月22日 「記者が選ぶ」

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チャーチル『第二次世界大戦』特設サイト

ファーゾン・A・ナーヴィ『コード・グレー――救命救急医がみた医療の限界と不確実性』

桐谷知未訳、原井宏明監修 2024年8月刊

つねに死と向き合い、善悪の概念を試される「グレー」な場面ばかりが訪れる、複雑で予測不可能なERの現場を巧みな構成で描くノンフィクション。

  • 毎日新聞 2024年9月7日 評者・中村桂子さん(JT生命誌研究館名誉館長) 短評

『コード・グレー』 の詳細はこちら
【試し読み】「プロローグ 新型コロナウイルス」より抜粋

スティーブ・ブルサッテ『哺乳類の興隆史――恐竜の陰を出て、新たな覇者になるまで』

黒川耕大訳、土屋健日本語版監修 2024年7月刊

哺乳類の覇者への道のりは恐竜絶滅よりも遥か昔に始まった。哺乳類の祖先が幾多の絶滅事件を乗り越え私たちに至るまでの、途方もない歴史を描く。図版多数収録。

  • 朝⽇新聞 2024年9月7日 評者・小宮山亮磨さん(朝日新聞デジタル企画報道部記者)
    「絶滅と進化と 3億年のドラマ」
  • 日本経済新聞 2024年9月21日 評者・更科功さん(生物学者)
    「奇想天外 科学の夢の世界へ」

『哺乳類の興隆史』 の詳細はこちら

今福龍太『霧のコミューン』

2024年7月刊

現代社会へのエッセンシャルな批評から出発しつつ、荒れ果てた風景の彼方に広がる真の人間性の場を探究しようとした著者の思索のはるかな到達点。狭霧のなかで抵抗の力をためる、日々の心のコミューンへの熱きいざないの書。

  • 読売新聞 2024年9月2日    「本よみうり堂 著者来店」

『霧のコミューン』の詳細はこちら

ハリー・パーカー『ハイブリッド・ヒューマンたち――人と機械の接合の前線から』

川野太郎訳 2024年7月刊

アフガニスタン紛争で両足を失った作家が見つめる、障害のある身体と機械の接合による生きやすさ追求のフロンティア。当事者の目線に沿って見つめる「支援テクノロジー」考。

  • 日本経済新聞    2024年9月12日    あすへの話題 評者・松永美穂さん(ドイツ文学者)
    「ハイブリッド・ヒューマンとは」
  • Wedge 2024年10月号 <一冊一会>秋の夜長にじっくり読みたい「サイエンス」本、知識の探求が導くさまざまな幸福の形
    「金継ぎの器」

『ハイブリッド・ヒューマンたち』の詳細はこちら

モーガン・フィリップス『大適応のはじめかた――気候危機のもうひとつの争点』

齋藤慎子訳 2024年6月刊 

私たちはこんなに大事なことを、どうしてまだ議論していないんだろう? 緩和策だけで気候危機をすべて避けられるわけではなく、適応は不可避だ。新しい環境運動のためのハンドブック。

  • 信濃毎日新聞 2024年9月7日 斜面
    「「22℃世代」にならぬように」

『大適応のはじめかた』の詳細はこちら

オリヴァー・ジョンソン『数学思考のエッセンス――実装するための12講』

水谷淳訳 2024年6月刊

株価の値動きからコロナ・ワクチンの効果測定まで。身近な事例を通してフェルミ推定、ベイズの定理、ゲーム理論などの考え方が身につく実践的数学講座。

  • 週刊東洋経済2024年9月21日・28日合併号 評者・末石直也さん(神戸大学教授)
    「誤った情報に騙されないための「構造」「ランダムさ」「情報」の力」

『数学思考のエッセンス』の詳細はこちら
【試し読み】数学者が懇切に解説する実践的入門書 訳者あとがき(抄)

ゲルト・クルマイヒ『ジャンヌ・ダルク――預言者・戦士・聖女』

加藤玄監訳、小林繁子、安酸香織、西山暁義 訳 2024年6月刊

重要なのはジャンヌ・ダルクを「脱神話化」すること、彼女を取り巻く勝手な推測や仮説から解き放つことである。600年に及ぶ研究史をふまえ、最良の史料によって、歴史家としてジャンヌ・ダルクとその時代に接近する。

  • 読売新聞 2024年9月29日 評者・小池寿子さん(美術史家・国学院大教授)
    「英雄神話解体 実像に迫る」

『ジャンヌ・ダルク』 の詳細はこちら

ジョージ・L・コントレラス『ゲノム裁判――ヒト遺伝子は誰のものか』

上原直子訳 2024年3月刊

「ヒト遺伝子に特許は認められるのか?」一私企業がヒト遺伝子利用を独占する。長く定着していたこの慣行に初めて異を唱えた裁判の、手に汗握るドキュメンタリー。

  • ジュリスト 2024年10月号(No.1602) 評者・井関涼子さん(同志社大)

『ゲノム裁判』の詳細はこちら
【試し読み】『ゲノム裁判』序文 全文公開

ウィリアム・マッカスキル『見えない未来を変える「いま」――〈長期主義〉倫理学のフレームワーク』

千葉敏生訳 2024年1月刊

科学をはじめ、歴史、哲学と使える知見は何でも使い、熱意にあふれた筆致で読者を巻き込んでいく若き哲学者、マッカスキルの説く、未来のための思想。

  • 週刊文春 2024年9月19日号 評者・吉川浩満さん(文筆家)
    〈私の読書日記〉「生命線、政治、長期主義」

『見えない未来を変える「いま」』の詳細はこちら
【新刊紹介】〈長期主義〉思想と「客観的な証拠と入念な推論」

前川淳『空想の補助線 幾何学、折り紙、ときどき宇宙』

2023年12月刊

折り紙マエストロの幾何学的着想とユーモアが光る数理エッセイの逸品18篇。

  • 数学セミナー 2024年10月号 評者・松田能文さん(青山学院大学理工学部)
    「好奇心を広げる補助線」

『空想の補助線』の詳細はこちら