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映画『かづゑ的』公開、宮﨑かづゑ『長い道』と関連書のご紹介

2024年4月1日

「できるんよ、やろうと思えば。」瀬戸内海にある国立ハンセン病療養所、長島愛生園に10歳で入所してから約80年、ずっとこの島で生きてきた宮﨑かづゑさんの日常を映すドキュメンタリー。 映画『かづゑ的』が、2024年3月より全国で順次公開中です(監督・熊谷博子、2023年、119分)。上映後トークも、豪華なゲストを迎えて各地で開催され、反響が広がっています。

「この映画はハンセン病を背景にしていますが、決してハンセン病だけの映画ではありません。人間にとって普遍的なことを描いたつもりです。」(熊谷博子監督・映画HPのコメントより)

「かづゑ的」をきっかけに、宮崎かづゑさんとその生き方を知ったかた、あるいはこれから映画をご覧になるかたに、宮崎かづゑさんのエッセイと、関連書籍をご紹介いたします。

宮﨑かづゑ『長い道』

著者は1928(昭和3)年生まれ。10歳で瀬戸内海に浮かぶ島、長島のハンセン病療養所長島愛生園(現・岡山県瀬戸内市)に入園、以来70年余をこの地で暮らす。22歳で療友と結婚後は園内で働く夫を主婦として支え、様々な後遺症を持ちながら、家事と読書を楽しんで慎ましく暮らしてきた。「本は親友だったけれども、自分が書くなんて思ってもみなかった」が、80歳を迎える頃から習いおぼえたワープロで少しずつ、瑞々しい文章を生みだしていく。 家族の愛情に包まれて過ごした幼少期。発病によって故郷を離れ、孤児のような気持ちで過ごした少女時代。『モンテ・クリスト伯』を読みふけり、大海原に心遊ばせた十代。夫のために料理をし、ミシンをおぼえ裁縫に精出した日々。心の支えだった親友の最期。遠い道のりをいつまでも会いにきてくれた母への思い。 故郷の暮らしを細やかに綴った「生まれた村で」、長島での日々を語る「島の七十年」(聞き手・伊藤幸史神父)、親友の看取りの記「あの温かさがあったから生きてこれたんだよ」(『愛生』連載)、夫の宮﨑孝行さんによる「妻との日々」他を収録。

著者の生き方と言葉に深くうたれ、交友がはじまった料理研究家・辰巳芳子さんとの対談「生きなければわからないこと」を巻末に付す。

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宮﨑かづゑ『私は一本の木』

(在庫僅少・お問い合わせください)

「らい患者であろうが、世界一の大金持ちであろうが、何の隔たりがあるでしょうか。何にもありません。私は自由そのものなんです」(「あとがき」より)

子供たちさえ労働に駆り出された苛酷な戦争時代を生き抜き、重い後遺症を持ちながら、心優しい夫と共に日常のささやかな喜びを何よりもいとおしむ。瀬戸内の小島にあっても、心はいつも広い世界をはばたいていた。そしていま、米寿を迎えた人が、ふるさとの思い出、長島での暮らしなど、心に浮かぶことをありのままに綴る。
瑞々しい感性が各紙誌で絶賛された第一作『長い道』に続く第二作品集。54編を収録。

『私は一本の木』書誌情報はこちら

神谷美恵子の著作より

かづゑさんの本と合わせて読みたいのが、神谷美恵子の著作集。長島愛生園で、精神科医として勤めた経験から生まれた名著『生きがいについて』をはじめ、病とともに生きる人に寄り添った言葉のかずかずは、いまも手にとった多くの方に影響を与えつづけています。

「神谷美恵子コレクション」より

  • 『生きがいについて』
    「いったい私たちの毎日の生活を生きるかいあるように感じさせているものは何であろうか。ひとたび生きがいをうしなったら、どんなふうにしてまた新しい生きがいを見いだすのだろうか」
    神谷美恵子はつねに苦しむひと、悲しむひとのそばにあろうとした。本書は、ひとが生きていくことへの深いいとおしみと、たゆみない思索に支えられた、まさに生きた思想の結晶である。1966年の初版以来、多くのひとを慰め力づけてきた永遠の名著に執筆当時の日記を付して贈る。
  • 『人間をみつめて』
    「島行きは私の実践として、自分の思想を生きるところとして、ぜひとも必要なのだ。あそこで通用する思想しかほんものでありえない」。
    神谷美恵子の思想と行動の立脚点ともいえるハンセン病療養所、長島愛生園。本書では1950年代から70年代、療養所とハンセン病者をとりまく厳しい現実に向き合い、格闘する姿がリアルな、切実な筆致で綴られている。 あわせて『生きがいについて』の続編ともいえる「人間について」も収録。思索と行動のひとであった著者の姿がうかがえる一冊である。
    解説は加賀乙彦氏、新資料として「長島愛生園入園者宛て書簡」をおさめた。

関連書籍・ハンセン病と生きること、書くこと

映画情報『かづゑ的』

映画『かづゑ的』の最新情報や劇場情報、そのほか詳細は、下記公式サイトをご覧ください。

映画『かづゑ的』公式サイト https://www.beingkazue.com/

映画『かづゑ的』公式サイト 劇場情報 https://www.beingkazue.com/theater