みすず書房

話題の本

人と動物のつながり

2023年9月25日

2023年9月11日に服部文祥 『北海道犬旅サバイバル』を刊行いたしました。人と犬との関係が魅力的な旅のドキュメントが各所で話題となっています。みすず書房のエッセイ、文学、哲学、自然科学ジャンルより人と動物にまつわる本を5作ご紹介します。

服部文祥 『北海道犬旅サバイバル』

50歳を迎えた登山家が愛犬を連れて宗谷岬から襟裳岬まで700kmを2ヵ月かけて歩き通した。鹿を撃って食いつなぐサバイバル旅。

「猟も山旅も全部含めて、一緒に生きてみたかった」北海道でのナツとの出会いからサバイバル旅へ。読んでいると一緒に旅をしているような気分になれる本です。生と死、経済、人生、家族、幸福などについても考えさせられます。食の描写も魅力的です!

ジョン・グレイ 『猫に学ぶ』

人は猫に及ばず。モンテーニュから現代ミステリーまで自在に援用しつつ幸福の追求という勘違いをほぐしてくれる哲学的人生論。

「人生の重荷を感じている人には、本書を読むことが救いにはならなくても、最低「気晴らし」にはなると思う。猫好きにとっては面白い上に感動的でもあり、つい読み切ってしまう」

養老孟司さんに寄せていただいたコメントにもある様に、人生に行き詰まった時には猫に学んでみてはいかがでしょうか。猫がくれる10のヒントが役に立つかもしれません。

奥山淳志『動物たちの家』

なぜ、犬のような動物が存在し、人間を愛してくれるのだろうか。ともに暮らした小さな生き物たちへの友情と哀惜。動物を求める感情の源を見つめ、その“場所”で息をしている生命の姿を綴る、新しい動物記。

たくさんの生き物と関わりその命を慈しむ筆者のあたたかな感情と自らに向けられる批判的なまなざし。ともに生きた動物、去っていった動物、表紙をはじめとして様々な写真をカラーで収録しています。

馬宏傑『最後の猿まわし』

時代とともに変わる「正しさ」に翻弄されながらも中国社会の最底辺で生きる猿まわし師たちを20 年にわたり追ったノンフィクション。

日本でも現在では大道芸として残る猿回しですが、本書では中国・鮑湾村での「愛と実利で結ばれた人間と猿の共生関係」が中国の歴史や社会、習俗とともに描かれています。また、日本語版には2015年に中国でベストセラーとなり 猿回し師が注目されたのちの現在の状況についても書かれています。

ピーター・ゴドフリー=スミス『タコの心身問題』

進化はまったく違う経路で心を少なくとも二度、つくった。人間とはまったく異なる心と知性をもつ生命体 ――頭足類。なぜこんなに賢いのか? タコになったらどんな気分か? 彼らと私たち、二つの心の本性を合わせ鏡で覗き込む。

筆者自身が海に潜って観察した海洋生物たちの詳細な描写(タコ以外の生き物も登場します!)が面白く、科学本としてもエッセイとしても楽しめる1冊。心とは何か? どのように生じたのか? 科学と哲学の両面から迫ります。