みすず書房

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書評に載った本 2025年11月

2025年12月10日

2025年11月に書評掲載された本をご紹介します。

『見知らぬ人を認識する――パレスチナと語りについて』

イザベラ・ハンマード 岡真理訳 2025年11月刊

ジェノサイドに抗して、暴力を支える語りをいかに解体するか。パレスチナ系英国人の作家が、サイードを手掛かりに、他者によって認識が変わる瞬間を描き出す。訳者・岡真理による解説「ホロサイドに抗して」を付す。

  • 週刊エコノミスト 2025年12月9日・16日合併号 評者・荻上チキさん(評論家) 「パレスチナを「知ること」は必ず「行動する責任」を伴う」

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『無数の言語、無数の世界――言葉に織り込まれた世界像を読み解く』

ケイレブ・エヴェレット 大久保彩訳 2025年10月刊

空を指して時刻を語り、「右」や「左」がなく、匂いを抽象的に精密に語る。なぜ言語はここまで多様なのか。人類学と言語学を架橋する、言語と認知の可能性についての書。

  • 日本経済新聞 2025年11月29日 評者・森田真生さん(独立研究者) 「生き方・環境が生む多様性」

『無数の言語、無数の世界』の詳細はこちら

『ヤバい保険の経済学』

リラン・エイナヴ/ エイミー・フィンケルスタイン/ レイ・フィスマン  西川美樹訳 2025年9月刊

「保険を楽しくするなんて!…教科書なんか捨てて、経済学は本書で学ぶべきだ!」S・レヴィット(『ヤバい経済学』著者)保険市場につきまとう〈選択問題〉から、経済学の原理に迫る。

  • 朝⽇新聞 2025年11月15日 酒井正さん(法政大学教授・労働経済学) 「米国にみる強制加入が必要な訳」

『ヤバい保険の経済学』の詳細はこちら

『暗黒のアメリカ――第一次世界大戦と追い詰められる民主主義』

アダム・ホックシールド 秋元由紀訳 2025年9月刊

戦争が終わっても続いた暴力、検閲、差別の時代。戦争熱や排外主義、そして様々な差別を利用した大統領から、それに抗った女性アナーキストまで活写。本書が問うのは百年前だけでも米国だけでもない。

  • 毎日新聞 2025年11月22日 評者・飯島洋一さん(多摩美術大教授・建築評論) 「「欧州移民」の国 いびつな「平等」」

  • 朝日新聞  2025年11月8日 著者インタビュー 「米国貫く「暗い流れ」」

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【試し読み】「宣伝によってクリームや石鹼が売れるなら、戦争も売れるはずではないか?」第12章より抜粋

『列島哲学史』

野口良平 2025年9月刊

もし人間が一人きりで生きていくことができるなら、哲学を必要とすることはないだろう。強大文明の辺境としての列島で成った哲学を古代から現代まで辿る。「上からの普遍性」に拮抗する「下からの普遍性」の系譜を掘り起こしていく試み。

  • 共同通信社配信(沖縄タイムス、山陰中央新報ほか)2025年11月1日 評者・安藤礼二さん(批評家) 「創造的な対話へ道を開く」

  • 日本経済新聞 2025年11月15日 評者・先崎彰容さん(社会構想大学院大学教授) 「大陸との緊張が生んだ思索」

  • 週刊読書人    2025年12月5日号 評者・大胡高輝さん(親鸞仏教センター研究員・倫理学・日本倫理思想史)    「「世界像のゆらぎ」に向き合う努力」

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『GROWTH――「脱」でも「親」でもない新成長論』

ダニエル・サスキンド 上原裕美子訳 2025年8月刊

「どんなタイプの経済成長を追求すべきか? 誰のためのものであるべきか?…こうした問題に関心をもつ人の必読書だ」(D・アセモグル)。アイデアの成長にフォーカスした新提案。

  • 公明新聞 2025年11月3日 評者・福島清彦さん(立教大学前教授)「経済成長の意義や限界など論じる」

『GROWTH』の詳細はこちら
【試し読み】はじめに(抄)

『北一輝・近衛文麿・石原莞爾と大東亜戦争――開戦に至る思想の系譜』

堀真清 2025年8月刊

北、近衛、石原が唱えた国家生存権の思想。それはいかにして日本を戦争に導いたのか。自国本位な思想の始原、発展、終焉を当人の著作、公文書その他の史資料からたどり直す。

  • 朝日新聞 2025年11月22日 評者・保阪正康さん(ノンフィクション作家) 「昭和の重要な断面浮かび上がる」

『北一輝・近衛文麿・石原莞爾と大東亜戦争』の詳細はこちら
自国本位の思想の過ちを史資料でたどる(新刊紹介)

 

『呼吸を取り戻せ――肺移植がもたらす奇跡と悲劇』

デヴィッド・ワイル 小田嶋由美子訳 仲野徹監修 2025年8月刊

奇跡のような回復、悲劇のような悲しい別れ、そして燃え尽き――。移植医療は神がかり的で、人間的だ。肺移植に人生を捧げた医師が、その内幕を赤裸々に綴るノンフィクション。

  • ドクターズマガジン 2025年12月号 評者・仲野 徹さん(大阪大学名誉教授)

『呼吸を取り戻せ』の詳細はこちら

『コンパートメントNo.6』

ロサ・リクソム 末延弘子訳  2025年7月刊

憧れのソ連に留学してきたフィンランド人の寡黙な少女と、家族をのこして建設現場へ向かうロシア人の饒舌な出稼ぎ夫。寝台列車の同じ部屋に偶然乗りあわせた二人の旅を描く。フィンランド最高の文学賞・フィンランディア賞を受賞したロードノベル。

  • WEB本の雑誌 2025年11月18日 評者・橋本輝幸さん「シベリア鉄道に乗り合わせた二人の旅」

『コンパートメントNo.6』の詳細はこちら
【試し読み】「訳者あとがき」より抜粋