2025年7月に書評掲載された本をご紹介します。
ロサ・リクソム『コンパートメントNo.6』
末延弘子 訳 2025年7月刊
憧れのソ連に留学してきたフィンランド人の寡黙な少女と、家族をのこして建設現場へ向かうロシア人の饒舌な出稼ぎ夫。寝台列車の同じ部屋に偶然乗りあわせた二人の旅を描く。フィンランド最高の文学賞・フィンランディア賞を受賞したロードノベル。
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週刊文春 2025年7月24日号 評者・酒井順子さん(エッセイスト) 「私の読書日記 シベリア、戦前音楽、マンションポエム」
アラスデア・コクラン『政治理論と動物――動物のための正義はありうるか?』
的場知之訳 2025年6月刊
動物という存在は、政治理論のなかでどうとらえられてきたのか。功利主義、リベラリズム、共同体主義、マルクス主義、フェミニズムを、動物保護の観点で精査。動物と人間のあるべき関係を指し示す。
- 共同通信社配信(沖縄タイムス、東京新聞、埼玉新聞ほか) 評者・谷田創さん(広島大学名誉教授) 「共生のあり方、再考促す」
『政治理論と動物』の詳細はこちら
【試し読み】「序論」より抜粋
ダニエル・ヴァルデンストロム『資産格差の経済史――持ち家と年金が平等を生んだ』
立木勝 訳 2025年5月刊
ピケティのナラティブを超えて。「富の平等化の主たる触媒は戦争による破壊でも累進課税制度でもない…」鍵は「持ち家」と「年金」にあった。最新の歴史的データをもとに、平等化への道筋を示す実証研究。
- 週刊東洋経済 2025年8月2日号 評者・砂原庸介さん(神戸大学教授) 「歴史的データに見る富の平等化 要因は住宅取得と積立型年金」
上野千鶴子『アンチ・アンチエイジングの思想――ボーヴォワール『老い』を読む』
2025年4月刊
私たちはなぜ老いを恐れるのだろう。ボーヴォワール『老い』を読み、老い衰え自立を失った人が生きる社会を構想する。
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読売新聞 2025年7月13日 記者が選ぶ
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北海道新聞 2025年7月20日 評者・小川公代(上智大教授)さん 「先人とともに老いと向き合う」
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朝日新聞 2025年7月2日 「老いはスキャンダル」なのか 上野千鶴子さん×國分功一郎さん「年齢差別」の風潮問う
トマ・フィリポン『競争なきアメリカ――自由市場を再起動する経済学』
川添節子 訳 2025年3月刊
アメリカは自由市場を諦めたか?テック企業と政治の結びつき、賃金・経済成長・格差の問いに、データで挑む。「21世紀の資本主義を理解するための必読書」(ガブリエル・ズックマン)
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日本経済新聞 2025年5月3日 評者・地主敏樹さん(関西大学教授) 「米国経済の意外な特徴暴く」
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東京新聞・中日新聞 2025年5月10日 評者・中北徹さん(東洋大名誉教授) 「権力にすり寄る新産業の実態」
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朝⽇新聞 2025年5月24日 評者・酒井正さん法政大学教授(労働経済学) 「進む寡占化、なぜ大いなる逆行」
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公正取引 2025年5月号通巻895号 評者・安達貴教さん(京都大学経営管理大学院・大学院経済学研究科教授)
ダニエル・ジェイムズ・ブラウン『遥かなる山に向かって――日系アメリカ人二世たちの第二次世界大戦』
森内薫 訳 2025年2月刊
日米開戦により悲運に見舞われた在米日系人らの苦闘を、4人の二世を軸に描く。『ヒトラーのオリンピックに挑め』の名手による傑作実録。写真51点を収録。
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中国新聞 2025年7月20日 評者・佐田尾信作さん(客員編集委員) 「真珠湾とヒロシマの間」