『コード・ガールズ』解説(小谷賢)全文(PDF、699KB)
第二次世界大戦中、アメリカ陸・海軍に雇われ、日本やドイツなど敵国の暗号解読を担ったアメリカ女性たちがいました。その働きにより、日本陸軍の船舶輸送暗号(通称2468)やドイツのUボートの通信に使われるエニグマ暗号が破られ、ひいては大戦の戦局をも左右する成果を挙げることになります。ただし、「コード・ガール」たちは戦後も守秘義務を守り、口を閉ざしてきたため、その活躍はこれまで知られてきませんでした。そうした多くの当事者たちに取材し、機密解除された文書も盛り込んだノンフィクションである本書『コード・ガールズ』(原題Code Girls, 2017)は、アメリカ本国で評判を呼んで20万部超のベストセラーとなり、10以上の言語に翻訳されています。
このたび、その邦訳版をみすず書房から刊行する運びとなりました。奇しくも今年は真珠湾攻撃から80年の節目にあたり、「戦争」と「女性」、そして「情報(インテリジェンス)」にまつわる秘史ともいえる本書は、いっそう注目を集めることと思います。ぜひご高覧頂けますと幸いです。