新刊『カテリーナの微笑』の出版を機に、これまでに小社より刊行している絵画・音楽にまつわる書籍をご紹介します。最新の研究やエッセイ、日記など様々な視点から作品や作者をひもとき、鑑賞の楽しみが広がる10冊です。
1. カルロ・ヴェッチェ『カテリーナの微笑――レオナルド・ダ・ヴィンチの母』【2024年10月刊】
日高健一郎訳
レオナルド・ダ・ヴィンチの母はカフカス出身の奴隷だった。自由も未来も奪われた少女の人生。新発見の史料が謎を解く、美術・歴史研究による壮大な歴史小説。イタリアで5万部を超えたベストセラー。
2. ルース・バーナード・イーゼル『絵画とタイトル――その近くて遠い関係』
田中京子訳(2022年刊)
タイトルは絵の印象を左右し、どう見るべきかを規定してきた。誰もが知る絵のタイトルは、いつ、誰によってつけられたのか。それは画家が描こうとしたものを本当に正しく伝えているのか。ルネサンスから現代まで、絵画とタイトルのスリリングな関係を追う、異色の美術論。
3. 小佐野重利『絵画は眼でなく脳で見る――神経科学による実験美術史』
(2022年刊)
ミケランジェロ、尾形光琳……東西の科学画像をたどり、作品を見るときに作動する人間の神経メカニズムの普遍性と美の関わりを探った美術研究の新機軸。
4. 原田治『ぼくの美術帖』【新装版】
(2019年刊)
古今東西の多様な美術作品をめぐる旅へ、さらに日本の美意識の源流を探る旅へ。洞察と歓喜の生き生きとした世界の発見。「OSAMU GOODS」で知られる人気イラストレーター、原田治のアートへの愛が溢れるエッセイ集。
5. アンドレアス・キルヒャー編『カフカ素描集』
パーヴェル・シュミット協力 ジュディス・バトラー寄稿 高橋文子、清水知子訳(2023年刊)
チューリッヒの金庫に保管されていた160点余の素描。2019年、没後百年を目前にしてようやく姿をあらわした、もうひとりの、画家カフカ。実物大、オールカラーで収録。ユダヤ文学研究者アンドレアス・キルヒャーによる詳細な学術的解説、哲学者ジュディス・バトラーによる論考、芸術家パーヴェル・シュミットによる全作品目録を収録。
6. フィンセント・ファン・ゴッホ『ファン・ゴッホの手紙』【新装版】
二見史郎編訳・圀府寺司訳(2017年刊)
生きる意味と絵画への専心を伝えて、永遠に読者を魅きつけるゴッホの手紙。フィンセント・ファン・ゴッホの全貌を示すべく編集された選集。初版2001年。
7. パウル・クレー著、ヴォルフガング・ケルステン編『クレーの日記』
高橋文子訳(2018年刊)
第一線の研究者が詳細に校訂・編集した新版。クレーの自叙伝ともいえる日記を、手稿図版を織り交ぜ、新しい訳とビニールクロス装・函入の美しい造本で美術ファンに贈る愛蔵版。
8. オディロン・ルドン 『ルドン 私自身に』【新装版】
池辺一郎訳(2024年刊)
夢やファンタズマゴリーを描きつづけるとともに、自然のヴィジョンに決してたじろがなかったルドン。人生、芸術、芸術家について、画家の内面が率直に語られる稀有な芸術論。初版1983年。
9. チャールズ・ローゼン『音楽と感情』【新装版】
朝倉和子訳(2022年刊)
バッハからアルバン・ベルクまで、作曲家たちはどのようにして、聴き手の感情を波立たせる曲をつくったのだろうか。音楽理論家・ピアニストのチャールズ・ローゼンが、古典派以前からロマン派以後までの名曲を例に、繊細な表現の構造と、計算しつくされたからくりを分析する。
10. クリスチャン・メルラン『オーケストラ――知りたかったことのすべて』
序文リッカルド・ムーティ 藤本優子、山田浩之訳(2020年刊)
オーケストラの見方が変わる。どう組織されているのか、なぜ指揮者が変わるとオーケストラの音も変わるのか……基本問題から気になる小事まで、世界のオーケストラと楽団員と指揮者のあらゆる情報を満載の事典的エッセイ。