みすず書房

コラム

みすず ブックリスト:2025年話題になった本

2025年12月25日

2025年も間もなく終わります。読者の皆様のご支援を賜りながら、2025年1月から12月までで、みすず書房は52点の新刊を刊行いたしました(新装版除く)。今回のブックリストでは、新刊・既刊とりまぜて、各種メディアで取り上げられ、話題にしていただいた本をご紹介いたします。

1月の話題書

『エッシャー完全解読――なぜ不可能が可能に見えるのか』

近藤滋著

毎日新聞書評(1月11日、若島正氏評)、日本経済新聞書評(1月25日、布施英利氏評)をはじめ、さまざまな媒体で書評していただきました。

「世の中に、「謎解き」を標榜する書物はたくさんある。しかしそのほとんどは……真に「謎解き」の名に値しない。そうした凡百の謎解き本と、本書は一線を画している」(若島正氏)

また本書の著者・近藤滋氏は、「ほぼ日刊イトイ新聞」(4月~5月にかけて掲載)、テレビ東京系『新・美の巨人たち』(11月1日放送)に登場しました。

2月の話題書

『九龍城寨の歴史』

魯金著 倉田明子訳

香港映画「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」の日本公開にともない、全国の書店様で九龍城の関連書が広く展開され、本書にもご関心をいただきました。

3月の話題書

『ハチは心をもっている――1匹が秘める驚異の知性、そして意識』

ラース・チットカ著 今西康子訳

毎日新聞書評(3月15日、中村桂子氏評)、朝日新聞書評(3月22日、小宮山亮磨氏評)などで書評していただきました。

「小さな生きものをよく見つめ、そこから学ぶことで地球でのよい生き方を考える時代になったのだ」(中村桂子氏)

4月の話題書

『デジタルの皇帝たち――プラットフォームが国家を超えるとき』

ヴィリ・レードンヴィルタ著 濱浦奈緒子訳

Youtube/Podcastチャンネル『ゆるコンピュータ科学ラジオ』の、本書をご紹介いただいた「巨大IT企業はなぜ邪悪になるのか」回(4月20日公開)が大きな反響をよび、特にYoutube版は40万回以上再生されました(12月時点)。また、著者レードンヴィルタ氏へのインタビューがForbes JAPAN誌2026年2月号(12月24日発売)に掲載されました。

 

5月の話題書

『競争なきアメリカ――自由市場を再起動する経済学』

トマ・フィリポン著 川添節子訳

読売新聞(4月27日、櫻川昌哉氏評)、日本経済新聞(5月3日、地主敏樹氏評)、中日新聞・東京新聞(5月10日、中北徹氏評)、朝日新聞(5月24日、酒井正氏評)と、書評が続きました。また、週刊東洋経済(2025年7月12日号、河野龍太郎氏評)や、TBSラジオ「荻上チキ・Session」(7/25)での言及など、さまざまなメディアで取り上げていただきました。Voice誌(2025年12月号)には、著者の大型巻頭インタビューも掲載されました。

「どうも企業と経済をつなぐ好循環のループは切れかかっているようである。資本主義がどのように壊れてきているのか見事にえぐって見せた1冊である」(櫻川昌哉氏)

 

 

6月の話題書

『アンチ・アンチエイジングの思想』

上野千鶴子著

5月の刊行以降、東京新聞、毎日新聞をはじめさまざまな媒体で取り上げていただきました。また、6月には著者・上野千鶴子氏×國分功一郎氏の対談イベント(於東京・ジュンク堂書店 池袋本店)と、著者・上野千鶴子氏×川口有美子氏の対談イベント(於東京・三鷹 UNITÉ)が開かれ、大変盛況でした。

「「ソクラテスは、哲学は死の練習だと言っている」などと返す國分さんに対し、上野さんは「練習しなくても(死は)きますから」と当意即妙で応じた」(2025年7月2日朝日新聞夕刊)

『庭とエスキース』

奥山淳志著

インターネットラジオ「チャポンと行こう!」(北欧、暮らしの道具店、6月23日配信開始)でご紹介いただきました。

「北欧、暮らしの道具店」店長の佐藤さんに「最近すっごくすっごく、読んでよかった本」と、激賞していただきました。

7月の話題書

『写真講義』

ルイジ・ギッリ著 萱野有美訳

東京都写真美術館で7月3日~9月28日にかけて「ルイジ・ギッリ 終わらない風景」展が開催されました。来場者からは「『写真講義』を買いたくなるような展示だった」との声も。

8月の話題書

『ソーシャルメディア・プリズム――SNSはなぜヒトを過激にするのか?』

クリス・ベイル著 松井信彦訳

哲学者の谷川嘉浩さんのご著書『スマホ時代の哲学』抜粋記事で、本書に言及していただいています(8月26日)。

「これは、SNSについて考える上でこれほど面白い本はないというくらいの内容」(谷川嘉浩氏)

また本書は、文芸評論家の三宅香帆さんにも、Youtubeチャンネル『TBS CROSS DIG with Bloomberg』の「Page Turners」(2月22日)や、11月刊の『考察する若者たち』(PHP研究所)で言及していただいています。

9月の話題書

『コンパートメントNo.6』

ロサ・リクソム著 末延弘子訳

中日新聞・東京新聞書評(9月2日、藤井光氏評)、共同通信社配信書評記事(江南亜美子氏評)、朝日新聞書評(10月4日、青山七恵氏評)などさまざまな媒体で取り上げられました。

「到着と出発のはかなさを反復する言葉と、ふと上空から列車を眺めもする描写の美しさは格別だ。すでに滅びた文明の遺跡を通過していくような無常感が、この小説の最大の魅力だろう」(藤井光氏)

また、東海大学と葉々社の共催イベント「北欧ブックフェスタ」(11月15日)にて、本書の翻訳を手掛けた末延弘子さんと、枇谷玲子さん、青山七恵さんの鼎談「女性の生き方について翻訳から学ぶこと」があり、にぎわいをみせていました。

10月の話題書

『GROWTH――「脱」でも「親」でもない新成長論』

ダニエル・サスキンド著 上原裕美子訳

ノーベル経済学賞を受賞したジョエル・モキイア教授の理論が、本書第2章で取り上げられています。

『夜と霧――ドイツ強制収容所の体験記録』

ヴィクトール・E・フランクル著  霜山徳爾訳

ノーベル生理学・医学賞を受賞した阪口志文教授が、医学の道を志したきっかけとなった本として、本書を挙げています。

11月の話題書

『未完の建築――前川國男論・戦後編』

松隈洋著

第79回毎日出版文化賞〈人文・社会部門〉を受賞しました(毎日新聞の記事はこちら)。

本書はそれ以外にも、2024年12月の刊行から、さまざまな媒体で書評をいただいています。加えて、2025年2月から6月にかけ、たくさんのトークイベントを開催しました(詳細は書誌ページにて)。

『台湾と沖縄 帝国の狭間からの問い――「台湾有事」論の地平を越えて』

駒込武編

高市首相の国会答弁(11月7日)以降、「台湾有事」の議論が再び前景化しています。「台湾海峡有事」の問題を台湾と沖縄の視点から捉え直そうと試みた本書と、台湾の思想的源流を紐解く呉叡人『台湾、あるいは孤立無援の島の思想』(駒込武訳)にも注目が集まりました。

12月の話題書

『夜と霧 新版』

ヴィクトール・E・フランクル著  池田香代子訳

12/6放送NHK「新プロジェクトX」で、医師・中村哲さんの愛読書として紹介されました。1956年の旧版刊行、2001年の新版から長い年月が経っても、多くの方からご関心をいただきつづけています。

『ファン・ゴッホの手紙』新装版

フィンセント・ファン・ゴッホ著  二見史郎編訳 圀府寺司訳

「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」にて、日本初公開のファン・ゴッホの手紙4通が展示されたことで、本書にもご注目いただきました。大阪展・東京展は開催終了しましたが、名古屋展の開催が予定されています(愛知県美術館:2026年1月3日(土)—3月23日(月))。