2025年3月に書評掲載された本をご紹介します。
ラース・チットカ『ハチは心をもっている――1匹が秘める驚異の知性、そして意識』
今西康子 訳 2025年2月刊
高速の思考。数を数え、道具を使い、他の個体から問題解決法を盗みさえする! ハナバチ認知研究の権威である著者が、1匹の内にある驚くべき精神生活を実験で説き明かす驚異の昆虫研究。掲載図版はフルカラー。
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文藝春秋 BOOK倶楽部 今月の1冊 2025年4月号 評者・片山 杜秀さん(思想史家、音楽評論家) 「『失われた時を求めて』の主人公と同じではないか!」
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毎日新聞 2025年3月15日 評者・中村桂子さん(JT生命誌研究館名誉館長) 「多様な生物の能力を知り、活かしたい」
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朝日新聞 2025年3月22日 評者・小宮山亮磨さん(朝日新聞デジタル企画報道部兼科学みらい部記者) 「『学習』『個性』さながら人間社会」
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共同通信社配信(福島民報、千葉日報、下野新聞ほか)2025年3月16日 評者・大谷智通さん(サイエンスライター) 「実験で解き明かす生態」
『ハチは心をもっている』詳細はこちら
【ためし読み】「はじめに」[抄]
ダニエル・ジェイムズ・ブラウン『遥かなる山に向かって――日系アメリカ人二世たちの第二次世界大戦』
森内薫 訳 2025年2月刊
日米開戦により悲運に見舞われた在米日系人らの苦闘を、4人の二世を軸に描く。『ヒトラーのオリンピックに挑め』の名手による傑作実録。写真51点を収録。
- 日本経済新聞 2025年3月29日 評者・野村進さん(ノンフィクションライター) 「米兵となった日系人の戦争」
ジョン・B・トンプソン『ブック・ウォーズ――デジタル革命と本の未来』
久保美代子 訳 2025年1月刊
出版社経営にも携わる社会学者が、膨大な統計、180件以上の出版・技術系企業関係者インタビューを根拠に論じる。「本」にかかわるすべての人のための新基本書。
- マネー現代 2025年3月1日 評者・飯田一史さん(ライター) 「紙の本」はなくならない…アメリカの「電子書籍」市場の動向から考える「出版産業の現在と未来」
- 共同通信社配信(信濃毎日新聞、東京新聞、沖縄タイムスほか) 2025年3月15日 短評
- 毎日新聞 2025年3月22日 評者・永江朗さん(ライター) 「発見される個性、情報のブラックホール」
- 読売新聞 2025年3月23日 「記者が選ぶ」
マイケル・キーン/ジョエル・スレムロッド『課税と脱税の経済史――古今の(悪)知恵で学ぶ租税理論』
中島由華 訳 2025年1月刊
「この本の核心をなす基本的なポイントは、税制のよしあしを定める原則の多くがどの時代にも見てとれるということである」(はしがき)シュメールの粘土板、古代エジプトの課税事情から現代多国籍企業の租税回避まで。博識で、ゴキゲンな租税史。
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日本経済新聞 2025年3月8日 評者・諸富徹さん(京都大学教授) 「永遠のいたちごっこに学ぶ」
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毎日新聞 2025年3月15日 評者・大竹文雄さん(大阪大特任教授・経済学) 「ロゼッタ・ストーン以来、人と金の歩み」
松本莞『父、松本竣介』
2025年1月刊
「そして松本竣介は宝石のようだった。」――奈良美智(本書帯文より)
36歳で没した夭折の画家・松本竣介の生涯と、戦後日本の美術界での受容の歴史を、作品を守りつづけた竣介の次男・莞が丹念に辿った決定版評伝。
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読売新聞 2025年3月2日 本よみうり堂 著者来店 「早世の画家 息子の視点で」
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共同通信社配信(京都新聞、山陰中央新報、福井新聞ほか) 2025年3月8日 評者・酒井忠康さん(美術評論家) 「激動の時代を生きた画家」
近藤滋『エッシャー完全解読――なぜ不可能が可能に見えるのか』
2024年12月刊
100点を超える図版で、《物見の塔》《滝》などだまし絵5作の制作過程を分解する。エッシャーが制作中に何に悩み、何を大切にしていたかにまで踏み込んでいく。謎解きの楽しさに満ちた1冊。
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日刊ゲンダイDIGITAL「本の森」 2025年3月7日
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書評誌『綴葉』 2025年3月号(No.435)
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Pen 2025年4月号 評者・印南敦史さん(作家/書評家) 「あらゆる角度から見る者を刺激する、“錯視図形”の謎に迫る」
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月間アートコレクターズ 2025年4月号 「エッシャーが仕掛けた視覚のトリックを解き明かす」
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週刊ダイヤモンド「オフタイムの楽しみ」 2025年3月29日号 評者・瀬名秀明さん(作家) 「だまし絵の謎解明に大興奮 総合知が広げる星空の世界」
チェ・テソプ『韓国、男子――その困難さの感情史』
小山内園子・すんみ 訳、趙慶喜 解説 2024年12月刊
家父長制、植民地化、南北分断、軍政、経済危機、兵役……。「韓国男子」の感情史を近現代史上の事象や流行語を手がかりに辿る。フェミニズムへの応答としての韓国男子論。
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図書新聞 2025年3月3月8日(3679)号 評者・佐々木正徳さん「ローカルに宿る普遍性――どのような読者にも心のざわつきをもたらすであろう名著」
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All About ニュース 2025年3月3月14日 評者・水上文さん(文筆家) 「作られた「男らしさ」の正体とは? 「女叩き」を盛んにする歪んだ“男性性”を韓国の歴史から考える」
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聖教新聞 2025年3月11日 新刊短評
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ふぇみん 2025年3月5日号(3412号)
松隈洋『未完の建築――前川國男論・戦後編』
2024年12月刊
国立国会図書館、東京文化会館はじめ数々の建築の設計を手がけ、「人間にとって建築とは何か」を問い続けた前川國男。前川自身のことばや関係者の発言、当時の資料を駆使して、その人と作品と時代を鮮やかに描く。
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読売新聞 2025年3月22日 著者インタビュー 聞き手・白石知子(読売新聞西部本社) 「日本の近代建築を先導・前川國男の思想や軌跡をたどる…自然と調和した空間構成「二つの美術館で結実」」
モンティ・ライマン『痛み、人間のすべてにつながる――新しい疼痛の科学を知る12章』
塩﨑香織 訳 2024年11月刊
痛がる脳の最新科学を知り、生物・心理・社会モデルによる新しい疼痛観を知る。痛みとの関係を根本から変える、エキサイティングな学びの書。
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週刊東洋経済 2025年3月22日号 評者・渡部沙織さん(医療社会学者) 「ヒトを守り、支配する 痛みという深い謎を論じる」
魏明毅『静かな基隆港――埠頭労働者たちの昼と夜』
黒羽夏彦訳 2024年11月刊
台湾北部の港街を舞台にグローバル資本主義に翻弄された港湾労働者たちの生を描く。台湾最高栄誉の文学賞・金鼎獎受賞の心揺さぶる「悲哀のエスノグラフィー」。
- 京都新聞 京都文芸同盟「本屋と一冊」 2025年3月8日 評者・鎌田裕樹さん(かまたき文庫) 「居場所失った彼らは私たち」
『静かな基隆港』の詳細はこちら
【試し読み】「彼らは私たちである」――新自由主義下の困難を乗り越える視点(訳者解題より)
ジャン・アメリー『老いについて――反乱と諦念』
初見基訳 2024年11月刊
肉体の衰え、時間の観念や他者の視線、社会とのかかわり方の変化、孤独感、死に向かうプロセス…。反乱と諦念を基調にホロコースト体験者が描く異色の省察。
- 図書新聞 2025年4月5日号(3682号) 評者・猪狩弘美さん 「新たな訳で甦った書――「老い」というテーマと関連して、アメリーは何を示唆するのか」
クリストファー・クラーク『鋼の王国 プロイセン――興隆と衰亡1600-1947』上・下
小原淳 訳 2024年11月刊
辺境の地はいかにしてヨーロッパの命運を握る大国になったのか。近代国家の形を作り、啓蒙主義が花開き、戦後に消滅したプロイセン350年の歴史を描き切った決定版。
- 毎日新聞 2025年3月29日 評者・飯島洋一さん(多摩美術大学教授・建築評論) 「未開の地に現れた「秩序と無秩序」の国」
ブルース・ホフマン/ジェイコブ・ウェア『神と銃のアメリカ極右テロリズム』
田口未和訳 2024年10月刊
政治的暴力が深刻な米国で、その大半を占める極右テロ。何が暴力を駆動するのか。厳格な銃規制は、どうして不可能なのか。極右テロリズム40年の歴史と防止策を、第一人者が説く。
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書評誌『綴葉』 2025年3月号(No.435)話題の本棚「アメリカの白人至上主義者によるテロリズムと内戦の可能性」
『神と銃のアメリカ極右テロリズム』の詳細はこちら
【新刊紹介】政治暴力の大半を占める極右テロ 第一人者による検証と対策