「絵をかくとはどういうことか」がわからなくなった画家。
ひざを抱えて酒びたりの日々をイメージしてはいけない。
芸術大学で学生に教え、対話をし、毎日かきつづける。実験と試行錯誤。
その営みを美学研究者が追った。言葉で思考する美学者と絵で表現する画家の邂逅から本がうまれた。
他人によって「あなたはおかしい」とされ、自分でもよくわからないままその規定を受け入れ自分をなきものにしてしまうのを避け、生き延びるためにはどうすればよいか。
なぜキミはこのジャンルを選んだのか。キミはこの芸術ジャンルの本質を何と考えているのか。なぜキミはこのような手法を選んだのか、その手法はジャンルの本質にかなっていると言えるのか。なぜキミはそこにこの色を置いたのか。
キミのやっていることは、いかなる点で先行する芸術作品よりも新しいと言えるのか、テクノロジーの発展したいま、なぜキミは、「絵」などという時代遅れなものを制作しているのか。欧米ではここまで進展しているのに、なぜキミはこんなことをしているのか? …… (本書「はじめに」より)
絵の幸せとは何か、画家にとっての幸せとは何か、そして、幸せについて考える試みの本。