フランスの庭師ジル・クレマンの著作が初めて翻訳刊行されるこの機会に、総合地球環境学研究所(京都)の招聘のおかげで来日が実現した。ジル・クレマンと言えばアンドレ・シトロエン公園やケ・ブランリー美術館の作庭で知られ、母国フランスやイタリアでは実地の知恵と経験から思索をつむぐ思想家として、存在感を放っている。
初来日となった今回、東京(2月21日・日仏会館)、京都(23日・総合地球環境学研究所、28日・アンスティチュ・フランセ関西‐京都)で3回の講演を行った。第1回「都市のビオロジー」では、荒地や放棄地に生え茂る植物とその広がりをひとつの庭とみなすクレマン独自の視点「第三風景」について、第2回「地球という庭」では、地球自体が囲われた土地=庭であるという観点から、地球環境を捉えてみること、そのときに庭師である人間はどのように自然に手を入れていくか考える「惑星という庭」の観点、第3回「庭のかたちが生まれるとき」では、クレマンの自邸「谷」の野原での実験と観察から創り出してきた「動いている庭」についての講演を行った。どの会場にも開演前からあふれるほどの人が集まり、その場は熱気に包まれた。このクレマンが提起する三つの観点については、訳者の山内朋樹さんによる文章を読んでいただければと思う。
「惑星と庭の熱狂のあとで」 REPRE vol. 21, 2014 http://repre.org/repre/vol21/note/01/