（『PRESIDENT』2023年8月18日号「本の時間 新刊書評」より抜粋）
鎌田浩毅
（京都大学名誉教授、同大学特任教授）
不透明で「想定外」に満ちた世界を生き抜くには、絶えず現行パラダイムに対する疑義を密かに用意することも必要である。そして一旦パラダイム転換を経験すると、問いの立て方から理解の仕方まですべてが変わる。本書で詳しく解説される科学革命の具体例から、これらを成し遂げた先人たちの思考過程を読み取ってほしい。こうした戦略的思考を促す点も、本書が科学者のみならず全世界で受け入れられる素地になったのではないか。
（中略）
古典を広めるため18年かけて正確さとわかりやすさを追求した見事な新訳でもある。人類の科学革命を通じて認識構造の転換を知りたい知的好奇心に溢れるビジネスパーソンすべてに薦めたい。
